メンバー:高橋(記録)・赤岡
初日
5:00 戸台P出発
6:50 角兵衛沢出会い
9:20 岩小屋
13:50 コルにてビバーク準備
2日目
6:00 出発
6:20 第一高点
9:30 第二高点
10:30 熊の穴沢下降開始
14:00 出会い
鋸岳~甲斐駒を狙って途中下山することになりました。
前夜入りして車を止め車中泊。
朝一で起床して出発。
戸台から見える甲斐駒に少しだけ気分を高揚させながら黙々と歩きます。
工事用車道を歩いて堰堤を超えてからは河原歩き。退屈。
途中で右岸に渡渉、右岸にはちゃんと道がついてたんですが(下山の時は使った)、
気づかずそのまま結構な距離を河原を歩き続けました。
出会いから角兵衛沢を樹林帯を歩いていくとガレに出ます。
このあたりで水が取水できると聞いていたのでここまでにすでに1L飲んでいたので水場を探すもなかなか見つからず。
やっと見つけた水場は融雪水がちょろちょろどころか、
ポタポタと滴っている程度で水がたまるまでやたらと時間がかかってしまいました。
ガレを登っていくと2300m付近でこの時期だけかもしれませんが
岩小屋よりも水量の多い場所が見つかったのでそこでもありがたく補給しました。
アクシデントはこの後起きました。
補給しているさなかに歩いた石を刺激してしまって落石。
それがあろうことか自分のソフトボトルを直撃しました。
慌てて回収して目視確認して大丈夫と思いザックにしまいました。
荷物が重いことに加え雪がなくなった角兵衛沢はひどいガレで足が沈みます。
足を持ち上げたそばからザレザレの足場は滑り、
歩幅が稼げず、きつい傾斜が600m分延々と続きます。
久々の重たい荷物に加えてきつい日差しと悪い足場に急傾斜、
へばりながらコルまであがり第一高点に向けて出発したとき、
ザックが汗ではなく異様に濡れていることに気づきました。
慌てて中を開けると先ほどの落石でソフトボトルに小さな裂け目ができてしまっていたらしく
水は1.5L以上漏れ出してしまってました。
ザックの中の寝具も防寒着もびしょびしょ。
この状態で日没を迎えるのはまずいと判断、
コルでビバークすることにします。
整地してテント設営し、寝具を乾かすため岩棚に
マットを並べて日干ししました。
それからボトルの修理を試みるんですが
手持ちのテープではどうやっても水漏れを止められない。
さらに風に煽られたマットが岩のとがった部分とすれてしまったようでマットに穴が…。
自分にイライラしながらマットも修理をするんですが何度やってもぺちゃんこになってしまう。
踏んだり蹴ったりです。
日差しと程よい風で防寒着やシュラフは乾いてくれたものの
とても甲斐駒までいけなくなってしまったため赤岡さんにお詫び。
鋸を超えて熊ノ穴沢下降することに決めました。
久々にマットが役に立たない状況になりました。
ザックを尻にしいて寝ますが一度目が覚めてからは背中が冷たくて寝られなくなり、
1時間おきにマットに空気を吹き込んでました。
合計で2時間ぐらいは寝られたと思います。
翌日は核心部を残してしまったため第一高点目指してまずは登ります。
頂上に思いもしなかった先行者がいて、同じようにビバークしていました。
聞けば鹿の窓から先の道が見つけられず引き返してきたとの事。
第一高点からは北岳、間ノ岳、仙丈ケ岳、そして目指すはずだった甲斐駒がくっきりと見えて行けないのが残念になりました。
小ギャップまで進むと支点にロープをかけて懸垂。
登り返しは左の草付からジグザグに登れば簡単でした。
エッジを乗っこすと細ーい踏み跡があり鹿の窓へと続いています。
今回個々の踏み跡のトラバースが一番悪く、堕ちられない切れ落ち方のくせに、
足元の水分がカチコチに氷結していてつるんといきました。
氷結面が落ち葉に埋もれて見えないトラップになっていて一瞬ヒヤリとしました。
鹿の窓は今回トラバースをやりたくないので元から稜線通しで行くつもりでくぐらずスルー。
このあたりは非常に岩が脆く登りづらかったです。
鹿の窓脇を登って稜線に出るとしばらく快適な歩き。
そこから第3高点を通って大ギャップ。
覗き込むと背丈ほどの積雪が山梨側にチラ見えしていてそれがぽっかりと融けて底が見えない状態になっており一瞬ひるみますがいずれにせよもう懸垂するしかないのでアイゼンをつけ、ロープをセット。
支点の灌木は枯死しておりそろそろやばそうですが、
上の丈夫な若木にバックアップがとってあったのでそのまま使用することにして下降。
ただ融雪でそこにロープが届いているかが見えないので途中のハーケン2本の支点で一度切り、
2回に分けて信州側に大きく下りました。
大ギャップルンゼは落石の巣で赤岡さんを待つ間ひっきりなしに岩雪崩がおきるので壁にぴたりと張り付いて待ちます。
ここにはなぜかフィクスロープがありますがこんなところを紫外線を浴びたロープでごぼうで降りるやつがいるのか?と疑問。むしろ懸垂の時切り落としたいぐらい邪魔でした。
信州側にも全く雪がないわけでなく、それなりの傾斜に雪渓が残ります。北側斜面なのでそこそこに固く締まっていて、後ろを向いてダガーポジションで前爪を蹴りこみながら下るとスリングのついた木で取りつきの目印がありました。
振り替えって鹿の窓ルンゼ方面から来た場合の踏み跡を探すが全く見つけられませんでした。
後から調べたらわかるんですが稜線通しで正解だったと思います。
そんなこんなで第二高点到着。アイゼンを外して下山を開始しますが中の川乗越でまた強烈に長い雪渓と出くわします。こちらは日当たりがいいので腐ってますがたとえ腐ってても傾斜がきつければ危ないので大事をとってまたアイゼンをつけくだります。
熊の穴沢からはガレガレの岩を飛び石のように下り、樹林帯に差し掛かってからは比較的スムーズに降りてこれましたがところどころ踏み跡が消失していたり、岩雪崩とその倒木で荒れ果てた藪こぎになったり、不安定な岩に足をとられて転んだりと、最後まで気を抜けずなかなか手ごわかったです。
技術的には登攀要素もないところでしたがルーファイと体力勝負が核心でした。
この時期は雪山装備は必要になって重いし、ガレ場は雪がとけてむき出しになってしまっているので
余計にそう感じたかもしれません。
情けない結果に終わりましたがまたいつか甲斐駒には登ろうかなと思います。