参加者:上林 (単独)
3月20日(木)
午後のソラシドエアーの便で鹿児島入り。バスで鹿児島中央駅に出る。鹿児島の街は初めてだ。ホテルにチェックインして、居酒屋探しに出る。当てにしていた「屋台村」の小さな店に入り、鳥刺しと鳥の炭火焼きを頼む。鳥刺しが特に美味しい。ちびちび飲みながら読書の至極のひと時。明日は朝早いので軽めに締めてホテルに戻る。
3月21日(金)
鹿児島中央駅 5時22分発のJR日豊線で霧島神宮駅まで。駅は無人で待合室にドアがなく外と同じ気温でメチャクチャ寒い。気温5度くらいか。震えながら買ってきたお握りを食べるが、あまりに寒いので歩いて10分位のコンビニに行ってコーヒーを飲んだりして時間をつぶした。外国人でいっぱいの7時51分発のバスに乗り、丸尾という温泉で乗り換えて えびの高原まで。標高が1200m程度あり十分寒い。支度をして登山道に入るとすぐに雪が出始めて、登山道のほとんどが雪だった。まさか九州の山でこんなに雪があるとはびっくり。多くの登山者が入るので雪が踏み固められており、万が一のためにと持ってきたチェーン・アイゼンが大活躍。韓国岳までは標高差500m程度しかないので、1時間半程度で山頂に到着。風速10mくらいの風が吹いていてメチャクチャ寒かった。新燃岳方面は火山活動で立ち入り禁止。見えるどの山も噴火口を伴っていて、まさに火山帯の真ん中にいる感じ。真下に この後歩く、蔵王のお釜を小さくしたような大浪池が見える。
寒いので とっとと退散して大浪池に下り始める。小さな岩がごろごろして歩きにくい道だ。樹林帯に入ると風も収まり ほっと一息。コルから少し登り返すと大浪池の外周の道に出る。登山道が微妙に稜線から外れているので 池は時々しか見えない。ほんの少しだが、まんさくの花が咲き始めていた。外周の後半の道は日当たりが良いのか 溶けた雪が水たまりになって、ドロドロ ぐちゃぐちゃが続く。防水性の良くない靴を履いてきたので靴の中やソックスまで全部濡れてしまった。大浪池をほぼ一周して、えびの高原へ下る道に入る。ここもドロドロぐちゃぐちゃの所が多く、ちょっとうんざり。だらだら下って えびの高原の手前の県道に出て横切る川でチェーンアイゼンとスパッツを洗った。
帰りのバスまで1時間半あるので 近くのホテルで温泉に入る事にした。体が冷え切っているので 本当にありがたい。恐らくもう直接見る事のないだろう韓国岳とえびの高原に別れを告げて16時のバスに乗り、丸尾で乗り換えて霧島神宮駅まで。めずらしく乗り換え良くJR日豊線の特急に乗れて鹿児島中央駅に戻る。霧島に公共交通機関で行くのは ともかく不便・複雑で綿密な計画が必要だ。霧島神宮駅発の朝一のバスと、えびの高原発の夕方のバスは平日しか運行が無い。なんで?
鹿児島中央駅で指宿・枕崎線に乗り換えて指宿(いぶすき)まで。平日の夕方なので通勤通学客で混んでいる。途中でかなり空いたので「飲み鉄旅」するために買っておいたワンカップを飲んで指宿に到着。駅横のホテルにチェックインして、今宵も居酒屋へ。当てにしていた店は満席で、2軒目で入れた。みそ味の指宿おでんは1本 130円と安いが、大きさは値段なり。砂ずりの刺身は美味。明るく静かな店で良かった。



7時28分 指宿発の電車で開聞駅へ。電車からの風景は畑以外何もないが、しばらくすると綺麗な円錐形の開聞岳が見えてくる。開聞駅は短いホームがあるだけで何も無い。線路沿いに少し戻り開聞岳方面への車道を30分ほど歩くと2合目の登山口。しばらく横幅1mも無い溝のような道を歩くと普通の登山道になった。開聞岳の登山道は円錐形の山をぐるっと回り込むように登る道だが山頂まで樹林帯が続くため、ほとんど展望が無い。5合目は展望台になっており、目の前に海が開けている。7合目~8合目あたりは濡れた岩場が続くため慎重に歩く。独立峰のため風でガスが沸いて濡れるのではと思った。麓から山頂までの標高差は900m近くあるので、それなりに登りごたえがあるが、多くの登山者で賑わっていた。
山頂からは北側の九州方面が開けていて薩摩半島がよく見える。南側には屋久島が見えるはずだったが薄くガスがかかって見えず、岩の上に立つと うっすら種子島が見えた。40分ほどのんびりして下山開始。濡れた岩場も意外と快調に下れて、1時間半ほどで2合目登山口まで一気に下山。時間つぶしがてら駅までの道から外れた蕎麦屋に行って蕎麦を食べた。地元産のそば粉を使っているらしい。開聞駅に到着してジュースでも飲もうと思ったが自販機も無く、元来た道を戻って自販機を見つけてジュースで喉を潤す。日中 電車と電車の間が4時間から5時間も空くので この山も電車で来る場合は綿密な計画が必要だ。14時23分発の電車に乗り指宿に戻る。途中 西大山という駅で2分ほど停車し、外に沢山の人がいるので何かと思ったらJR最南端の駅だそう。
指宿に戻り、ホテルに荷物を置いて歩いて 東郷温泉 村之湯という公衆浴場に行った。木造の小さい温泉で、中は脱衣場と風呂場の間に戸も無く、小さな湯舟が2つだけある 実にレトロな雰囲気の良い温泉だった。地元のお爺さんとあいさつを交わし、隣の女性風呂からは地元のお祖母さんたちの会話が全部聞こえてくる。湯舟の床も板張りで実にここち良い。温泉の成分でお湯が流れるところは真っ黒に変色している。ここは大当たりだった。代金も350円と激安。ホテルに戻り すこし休んで、昨晩入れなかった おそらく指宿で一番人気の居酒屋へ。18時開店の一番客。最後の晩なので少し贅沢して、刺身の盛り合わせ、鳥刺し、おでん、餃子を食べる。今宵も読書しながら 焼酎をちびちび飲んで至極のひと時を過ごす。



時間がたっぷりあるので、駅で帰りの特急「指宿のたまて箱」の指定券を買い、名物の砂蒸し風呂を体験しに「砂蒸し会館」に歩いて行く。受付を済ませ裸の上に浴衣を羽織って砂浜の砂蒸し場に行くと、係の人がスコップで熱い砂をかけてくれる。のんびり1時間くらい時間をつぶそうと思ったが10分が目安と言われた。カメラ持ち込み禁止なので砂蒸し状態の自分が見られず残念。全身にかけられた砂は結構重く動けない。15分ねばったが、体中が熱くて限界となり砂から出た。10分目安という意味が良くわかった。建物に入り砂を払って普通の温泉に入る。温泉を出てロビーで時間をつぶして、駅の近くラーメン屋で九州ラーメンを食べた。これも旨かった。特急「指宿のたまて箱」は最後のお楽しみ。外観は地味だが車内に入ると内装が板張りで、サロンのようなスペースがあったり、全座席の横に いろいろな魚のイラストが飾ってあったりして、乗り鉄を楽しめる電車だった。オリジナルグッズの販売まであり、JR九州 相当力を入れている。鹿児島中央駅まで普通料金だと1050円。特急に乗ると3000円で ちょっと高目だが 十分乗る価値があった。カメラ片手に車内をうろうろしていたら あっという間に終点についてしまった。バスで空港に移動。羽田行のフライトが離陸してすぐ何気に窓の外を見たら霧島連山が真下に見え、一昨日歩いた韓国岳や大浪池も見えてちょっと感動した。まさかの再会だった。
山半分、旅行半分で鹿児島の一人旅を満喫できた4日間だった。

