2018年5月6日@抜戸岳 穴毛谷+打込谷スキー


◎参加者:高山

18050612 0415 新穂高温泉 第3P出発

0600 標高1450m付近 雪渓末端

0710 穴毛大滝

0950 抜戸岳

1010 打込谷へ滑降開始

1030 滑降終了(2280m二俣)

1230 抜戸岳

1255 杓子平へ滑降開始

1345 1450m付近 雪渓末端

1600 新穂高温泉 第3P

新穂高には夜明け前に着いたが、駐車場の場所が分からず誤って深山荘に泊めてしまった。すぐ隣が無料公共駐車場。

蒲田川沿いの冷気が心地よい。準備するうちに、北東の空に中崎山や抜戸槍が明るくなる。 左俣出合まで行くと笠への稜線も見えてきて、高低差と険しさに驚嘆する。

左俣林道を5分も歩けば穴毛谷の出合だが、蒲田川左俣が巨大堰堤から雪融水を轟かせている。この水量では飛び石を探しても無駄。しかし新穂高までの高速代4,430円・安房トンネル500円・ガソリン代3,000円・片道計7,930円・往復合計15,860円を考えれば撤退は有り得ぬ。渡渉してパンツの中まで水浸しになり半ベソかく。 帰りの渡渉では、気温上昇による融雪でさらに増水しており、スキー靴が滑って転び、危うく流されかけた。とっさに対岸の岩に飛びつき、マントルムーブで乗り上がるが、スキー板が岩に突き当って反動で落ちそうなる。すぐ下流が巨大堰堤なので、泡食ってバタ足と肘膝腰の沢ムーブ全開で事なきを得た。 冷水に胸まで水浸しになり、さすがに反省した。もしやと思い林道を奥に30秒も歩けば車も通れる橋を発見。一般ルートの渡渉で流されかけたのかと気落ちしていただけに、橋を見つけたときは沢ヤの矜持を取り戻し少し嬉しかった。良く見れば地形図にも橋が描かれていた・・・穴毛谷出合上流の橋 穴毛谷は側壁に岩盤が発達した見事なものであった。アルペン的とはこのことかと、いたく感心した。

穴毛谷

穴毛谷

雪の心配をしたが、1450m付近で雪渓に乗れ、帰りもそこまで滑れた。側壁が絶壁の廊下状の地形のためデブリはなく踏石も比較的少ない。また5/3(木)に降雪あったようで雪面も綺麗だ。

穴毛大滝・ザイテンタール

穴毛大滝・ザイテンタール

穴毛大滝まではスムーズだったが、ザイテンタールの急登には参った。いつも上越ばかりなので、標高2000mを超えると急に体調が悪くなる。ヒマラヤやアルプスに行く日本人登山家が富士山の標高を超えると高山病になるのと同じである。 ちなみにザイテンタールとはドイツ語で支谷という意味である。ザイテンは穂高のザイテングラードと同じで、タールはネアンデルタール人のタールと同じである。ネアンデルタール人とはネアンデル谷で見つかった人ということであり、さらにネアンデルとは発見者の人類学者の名前である。こう見えても大学ではドイツ語を習得したので、この程度のことはWikipediaを見ればわかるのである。

ザイテンタールを越えれば緩傾斜の源頭斜面となり、正面には笠から抜戸への稜線、振り向けば穂高連峰である。15,860円以上の価値は確実にある空間と眺望だが、稜線に近づくほど南風が強く、濡れた足元が冷え弱気になる。しかし双六側の風景を見たくて、最後の急斜面から雪庇を乗り越す。 稜線は風が強い、笠~幡隆平~六ノ沢支流の計画はあっさり放擲する。しかし登った標高と時間分だけ滑降欲が高まっている。 まず抜戸山頂直下から打込谷二俣を目指してエントリー。上部はアイスバーンでガリガリ。雪の状態が良くなるとすぐに沢が狭くなり、ストップスノーに変わる。

杓子平から槍穂高

杓子平から槍穂高

抜戸より打込谷を見下ろす

抜戸より打込谷を見下ろす

良い斜面なのだが、杓子平を見てしまった後では、少し物足りない。2260mあたりの二俣で緩傾斜になり水流も出てきたので滑降終了し、右の沢から抜戸へ登り返す。たかが550mの登高に2時間近くを費やす。山スキーを始めてからシールでジグ切って登ることを覚え、アイゼン履いていても自然とジグザグに登ってしまい時間が掛かって仕方ない。

打込谷から抜戸を見上げる

打込谷から抜戸を見上げる

午後から風が強まる予報とおり、稜線は南風が強い。雪庇をクライムダウンする際にスキー板が風に煽られるので、できるだけ体勢を低くする。ピッケル代わりに雪に突っ込んだ右手が凍える。早くスキーを履きたいが、風が強いので50mほど後ろ向きになって下る。

一昨日の雪で真っ白なノントラック斜面となった杓子平を滑降する。何も考えずこの氷河名残のカールをフォールラインに落ちていきたい陶酔を感じるが、それでは穴毛大滝に吸い込まれてしまう。ザイテンタールよりにトラバース。少し慎重に過ぎた。

杓子平

杓子平

ザイテンタールの荒れた急斜面をこなせば、一安心だ。後は踏石を避けながらショートターンで雪渓末端まで楽しく飛ばす。谷間の先にのぞく乗鞍と焼岳がどんどん大きくなってくる。

穴毛谷から焼岳・乗鞍

穴毛谷から焼岳・乗鞍

時間があるので雪渓末端の岩でトカゲしたが、のんびりする間もなく小雨が降りだした。仕方なく、スキーブーツでゴーロを下った。疲れと緊張感が切れてエラく時間がかかってしまった。

穴毛大滝より谷を見下ろす

穴毛大滝より谷を見下ろす

四ノ沢

四ノ沢

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