◎参加者:Hさん、T(記録)
8月の例会後の飲み会で、Hさんから北鎌尾根の話が出ました。
多くの登山愛好家がそうだと思いますが、
北鎌尾根というクラシックルートには漠然とした憧れがあります。
槍ヶ岳にも登ってみたい。
(※まだ登山初めて日が浅いTは登ったことがなかったのです)
9/20の前夜に車で穂高駅駐車場まで移動、前夜泊します。
バスが駐車場から出ているようなのですが、それはばっちり乗り逃がし(笑)、
穂高駅前まで徒歩移動(5分ぐらい)、乗り合いバスの停留所には
朝一の電車でやってきた大勢の人が既に集まりつつありました。
臨時便が出てなんとか乗ることができ、中房温泉へ。
中房温泉は、3連休の初日ということもあり、物凄い人ごみでした。
軽く柔軟とトイレを済ませてから6:30に登山開始。燕岳まで登山道を歩き始めました。
紅葉が始まっており燕岳までの山道は奇麗な景色も相まって快適なハイキングそのもの。
さくさくと高度を稼ぎます。燕山荘にて荷物をデポし、空身で燕岳に登頂(9:40)。
槍をバックに写真を撮りました。
燕山荘でコーラを飲んだ後、大天井に向けて出発。
森林限界線がくっきり下界に見えるハイマツの道を稜線沿いにひたすら歩きます。
この日は良い天気ということもあり、暑さで体力をじりじりと奪われました。
途中、膝の心配をしながらも(少し左足に腸脛靭帯炎の兆候があった)、
ゆっくりと進むことで特に深刻なトラブルに陥ることなく大天井ヒュッテに到着(13:09)。
休憩を取ったのち、25分ほど歩くと、貧乏沢入口に到着します(13:54)。
看板があるので見落とすことはまずないと思います。
ハイマツ帯をしばらく分け入ると、ルンゼを降りていきます。
天井沢出合が1795mですから750m分、一気に下降するはず。
落石に気を付けながら黙々と下るのですが結構急なガレ場で手こずりました。
時々左側に踏み跡があり、緩やかに下れる道が出来ているので、
基本的に左側沿いに下りていくと良いと思います。
標高2000mあたりから貧乏沢からも水が出てきます。
つるつる滑るので注意して下降する必要があり、実際Tは何度か滑りました。
ようやく天井沢出合に降り立ち(16:20)、適当なテン場を探してビバーク。
テントは20張ほどあったように思います。貧乏沢では誰とも合わなかったので、
皆、水俣乗越からやってきたのでしょうか。
疲れた足をじっくりと回復させるため、よく食べ、早めに就寝しました。
翌朝は5:20に行動開始。北鎌沢出合から今度は沢を詰め上げます。
特に難しい個所は無いのですが間違えた踏み跡がいくつかあり、注意が必要です。
Tはすぐに気づきましたが一度だけ別の踏み跡に入り込みました。
間違いに気付かないまま上がってしまうと場合によってはクライマーホイホイと呼ばれる
急な草つきに出てしまい、進行不能になることもあるようです。
北鎌コルに到着(7:20)すると、さすがに人気のあるバリエーションルート。
結構な人数のパーティが続々と上がってきています。
ただし、この日はテントは張られていませんでした。
7:40にいよいよ北鎌尾根取りつき開始。
P5~P9までは雰囲気としては鶏冠尾根の岩稜帯にとても似ています。
ハイマツが豊富にあるので手がかりは豊富ですが、
それ以外の灌木や根っこを掴む際は立ち枯れしているものも半分以上ありますので
注意が必要です。
そして他の記録を読むと散々書かれている北鎌独標、今回はトラバースルートで
進みます。足場が年々崩壊してきているらしい、例のフィックスロープがついている
トラバース開始部は、確かにロープが無いと少し危険な個所ですが、
そこを超えるとザレ場も楽々、3点指示の必要なく歩けるほどしっかりしたルートでした。
トラバース途中のハング岩を越すところは、他の記録写真で何度も見ていましたが、
実際のところ右足を下部バンドに乗せて左膝を上部バンドに差し入れて四つんばいで通過、
これで数秒で終わる箇所でした。拍子抜け。
このままトラバースもできるようですが独標のチムニーから登っていけば独標頂上まで行けます。
チムニーには残置ハーケンがあるので、それを使ってもいいのですが、
それよりも体をチムニーの外に出すので、少し恐怖感はありますが、
右側壁が階段状になっていて登りやすかったです。
III級程度の登りをフリーで抜けると、独標から見えるのは大槍へと続く、
北鎌尾根の全容! あともう少しで大槍に届く!とこの時一番テンションが上がりました。
P11からP12は快適に進みます。一度大きくルンゼを下降していく箇所があり、
落石が起きやすいので注意して一人ずつ通過。そしてここからが長かった。
北鎌の核心はP13~P14だと思います。
基本的にここは稜線を行くのが良いとされていますが、
トラバースの踏み跡があまりにもくっきりよく見えるため、トラバースしていきました。
ただ、トラバースも基本的に上部の安定したバンドを進む必要があるようです。
下部はかなりのザレ場。Hさんはここで下部に行きすぎてしまい、登り返しました。
P14の最初の小ピークはHさんは先にトラバース(見かけほど悪くはなかったとの事)、
先行パーティはトラバース後に登攀するルートを取っており、落石が頻発していたので、
かなり悪そうに見えた為、Tは取りつきから直登しました。
その後、再びトラバースルートに入っていくのですが、ここでTは
上部の安定したバンドとは異なるザレ場に入り込んでしまいました。
相当に悪いザレ場に行ってしまったようで、ずりずりと足が滑り始め、
四つんばいで、腕のフリクションも使って、かなり嫌な汗をかきながら、
なんとか安定した場所まで復帰しました。
Hさんと後続のパーティが立っていた安定した場所まで、
3m程度しか離れていない地帯だったのですが、
北鎌尾根はそうしたほんの少しのルーファイのミスが、
格段に難易度を変える、そういうルートだと思います。
P14を超えるとP15までは簡単に登れます。
そこから大槍へ向けては、ゴーロ帯となります。
軽量化に努めたとはいえ、ザックを背負って高所を登り続ければ、
足は重たく、フラフラになります。早く尾根を抜けたくて、
昼飯を取らなかったことも影響したのか、とにかく疲れた状況でした。
そして最後の大槍への取りつきは、基本的にすべて直登。
疲れている為、また最後の最後でミスるのも馬鹿らしすぎるので、
ロープこそ出さないものの、ゆっくり、ゆっくりと登って行きました。
ハングしている箇所も、速めにスタンスを見つけて体をよじって乗り越せば、
あとは大槍の祠の真裏に出てくることができます。
※ここも実は直登せずに左側から巻いて登ってくことができるようですが…。
ついに踏んだ槍ヶ岳頂上(14:20)。
達成感からひとしきり喜びの声を上げた後、Hさんと握手。
そして記念撮影をしてから下山開始しました。
この時、ノーマルルートでかなり大きな落石が発生して、
直撃を避けるために自ら落ちた方がおり、救助活動をしていた関係で、
梯子は大渋滞になっていました。
予定では槍ヶ岳山荘のテン場で幕営でしたが、やはりというか、空きがない。
この時、横尾まで下るという案がHさんから出されましたが、
さすがにTの足がそこまで持つ気がせず、
殺生ヒュッテまで下って幕営することにしました。
18:00頃には就寝して、予定では2:00起床、3:00行動開始の予定でしたが、
目が覚めてしまい、1:00起床、1:30から下山開始しました。
途中ヘッデンの調子が悪くなったりとありましたが、
もう滑落の恐怖と戦う必要も無いので気楽なものです。
上高地に7:53に下山して、今回の山行の幕引きとなりました。
やってみてわかりましたが、北鎌に必要なものは
クライミング力ではなく、体力でもなく、総合力なんですね。
単独では無理でしたが、Hさんが居たからこそやりきることが出来ました。
北鎌は是非お勧めのルートです。


















