◎参加者:Tさん、N(記録)
北岳バットレスを登ってきました。
個人的(N)にバットレスには深い思い入れがありまして。
初めてここで見たクライマーが、私がクライミングを始めた原点なんです。
もちろんあのころは、まさか自分が“そっち側”になるとは
思ってもいませんでしたがw
その後、2010年の大崩壊、翌年の地震があり、もうバットレスに登れる
ことはないだろうと諦めていたのですが……、今回念願かないました!
■21日
甲府駅で待ち合わせて、09:00のバスで広河原へ。
先週の連休は台風でつぶれたこともあってか、バスは臨時便4台でも座れないほどの満席状態。
11:00前に広河原着。天気最高!
急坂を進み、(暑かったうえ、久々の20数kgのザックがずっしりと…)
13:30過ぎには御池小屋へ。会の「ラッセル担当」ことTさんは、相変わらずの
パワフルな登りですw
テントを張って軽く休憩後、さっそく取りつきまで偵察へ。
全体としてかなり分かりやすい行程で、八本歯へ向かう沢筋の雪渓は
ほとんどなくなっていました。
16:30前にはテントに戻り明日の成功を願って乾杯、20:00には就寝。
■22日
03:30起床、04:20出発。
御池小屋から二俣までは20分程度。簡易トイレに出たら、八本歯へ向かう
沢筋の夏道を登っていきます。このあたりで東の空が明るくなりヘッデン不要になる。
夏道を30分ほど登ると、右からかなり明瞭な沢筋が入ってきます。
これがバットレス沢。目印は大きな岩に、赤ペンキの「×印」。
二俣から30分位したら右を気にしていれば、まず見逃すことはありません。
バットレスは、取りつきに行くまでに下部の岩稜帯を数P登る必要があります。
今回私たちはbガリー大滝から行く予定だったので、
この沢を20分ほど黙々と詰めていきます。昨日偵察に来た時は
沢の右岸にある踏み跡も使ってみたのですが、個人的にはbガリーに行くなら
沢の中を詰めてしまったほうが歩きやすい気がします(踏み跡はアザミが痛い!w)。
bガリー大滝取りつきに来ると、早くも2パーティ6人程が先行。
今回は御池小屋でかなりのクライマーを見たので、渋滞になることは予想していましたが、
やはりみな考えることは同じで、出発早いです…。
少々の待ち時間で、06:00頃、Ⅲ級程度の1p~2p目を快適に登る。
基本的に今回は完全つるべで登るつもりだったので、行動もスピーディ。
ここから4尾根の取りつきに行くときに……やっちゃいました(苦笑)。。
本来は、薄い踏み跡を左にたどってC沢に出るはずが、
もう1本の上に向かった踏み跡をコンテでガンガン登ってしまい、
気が付けば、「これフリーで登るんすか?」的な急坂状態にw
もうクライムダウンも危ないし、まあ踏み跡もあるにはあるのでそのままガシガシ登ります。
そして着いた先は…、トラバースする予定だったC沢のガレ場のかなり上部。
同じ間違いをする人は他にも大勢いるようで、ハイマツには懸垂用の残置多数ww
ありがたくこちらをお借りして、予定外の懸垂でC沢へ。ロープが絡みに絡んでもたついた
こともあり、ここで1時間近くロス。さっそく「アルパインの洗礼」です。。
08:40、ようやく4尾根の取りつき(赤ペンキの「4」が目印)へ着いた時には、
朝取り付きで会った3パーティに抜かれておりました。。トホホww
普通ならすぐリカバーできるレベルですが、今回は日が悪かった。。
お天気最高の大渋滞で、ここの取り付きで1時間近くステイ。
…ま、こういう時はキリキリしてもしょーがないんで、
富士山でも眺めながらのんびり。。しかし日差しが照ってて、あ、あつい・・w

順番が回って来て、今回一応一番グレードが高いⅤ級のクラック~リッジ。
まあ実際に登ってみると、足のジャミングが完璧に決まるし、
レイバックっぽい動きでも容易に抜けられるので、そこまで難しくはないです。
ここに限らず4尾根は人気なので、残置が多数あるのも有難い。
その後は、たびたび渋滞に巻き込まれながらもⅣ級前後の快適なピッチを進み
(ここら辺はあまり迷いようがないかと)マッチ箱の懸垂(10m)。
この辺り(12:30過ぎ)からやや雲行きが怪しくなり、あれだけ暑かった岩場に
つめたーい風が吹いてきます。渋滞待ちの他のパーティと、「寒いですね~寒いですね~」
と雑談。その人とは、ほんの2時間前まで「暑いですね~暑いですね~」と言ってたんですけどねw
14:00 懸垂後は、枯れ木テラスまでの2Pを切らずに一気に。
高度感抜群のリッジですが(4尾根が人気の理由が分かります)、
ガスがかかって今回は展望はイマイチ。でも下が見えず恐怖心がわかないからこちらのがいいかも?w
ここから先が、崩壊後の新しいルートになります。
枯れ木テラスの向こう側は、今や完全な断崖絶壁になっていますが、
昔はそこにルートがあったのだとか。覗きこむと目もくらむ高さです。
(でもTさんは全然怖くないらしい。…な、なぜ!)
枯れ木テラスからは、まず城塞ハングまでの1pが左へのトラバース(Ⅲ+)。
ホールドもしっかりあって難しくはないのですが、とにかく怖い!
足元は何もないうえ(完っ全に崖)、崩壊時にできたらしい溝をエイヤと越えるところは
むしろ後で思い出してからのほうが、じんわり汗をかく怖さです。。
そして最終Pが城塞ハング。左側には草付きの回り込む簡単そうなルートがあり、
先行パーティはほぼそちらに行ったので、私もそちらに行こうと思ったら、
つかさずTさんから
「Nさん、ここは直登でしょ~」
……おーい。リードはどっちだと思ってるんだ!w
さっきのトラバースで、ごく短いPで予定外に一度切ったことで、
順番的にTさんにリードしてもらったのが仇になりました(苦笑)。。
でも見た感じなんとかなりそうだったので、とりあえず
今回最初で最後の、「秘技、A0上等」で取り付くw
ほぼ垂壁のチムニーっぽいルート。残置がかなりあるので安心感はありますが、
なんせこの時点ですでに高度が3000m越えているのと、すでに16Pを登っているので
もうとにかく「突破すればいいや!」状態。
登り切った時には、のどカラカラになってました。
その後、Tさんもサラリと登り(おー)、二人が終点の平坦な場所に着いたのが15:00過ぎ。
長い長い一日に達成感もひとしおで、思わずガッチリ握手!
ささやかな余韻に浸ったあとは、ギアを片づけ、10分程草付を歩き登山道へ。
……そして、私が初めてクライマーを見た「その場所」へ。。。
感慨深い私の写真をTさんに撮ってもらい、山頂でサラっと記念撮影、
そして御池小屋に着いたのが17:00過ぎ。
いや~~ 長い長い一日でした!
少し暗くなり始めてうすら寒くなっていましたが、
ここで、月を眺めながら飲んだ生ビールの味は本当~に格別でした。
※実は下山後、ほぼ同じ日程でバットレスに入っていた知り合いがいたことが分かり、
聞けば事前の渋滞を予測していて、未明に出発~夜明けとともに取り付いて
渋滞知らず、11時には登攀を終了していたとか。
しかも私たちが失敗して懸垂していたところを、対岸から見ていた事が判明。
は、はずかしい・・・w
■23日
今日は下山のみ。
上手くいけば前日のうちに帰れると踏んでいたのですが、
まったくそんな時間はなかったですしね。
5:00時前に起床、撤収を済ませて、6:00には水洗トイレ(!)、
水飲み放題の素晴らしい御池小屋テント場をあとに。
1時間半弱で下山し、8:00発の甲府行のバスに乗り、
11:30には新宿に着くことができたのでした。
……今回この山行を計画してくれたTさんに本当~に感謝です!
途中細かい失敗もたくさんありましたが、終わってみると
そんなところばかりが思い出されるから不思議ですねー。
私(N)は、念願のバットレスに好条件で登れただけでなく、
これならオールリードで行けるという確信を持てたことが非常に大きな自信に繋がりました。
アルパインらしい、とても素晴らしいルートでした。
またいつか、今度は隣の中央稜やD奥壁なども視野に入れて、
この壁にやってきたいです!








