【個人山行】2015年8月14-15日@北穂高 滝谷ドーム中央稜


T(L/記録)・Aさん

北穂高滝谷ドーム中央稜を登ってきました。

2年近く温めてきた宿題です。
目標が無いと頑張れない性格なので、
Hさんに連れて行ってもらった北鎌尾根の後、この登山を考えました。
自分の力でクラシックルートのクライミングを計画し、良い内容で登る。
その線で決めたのが、北穂東稜から滝谷ドーム中央稜。当時の目標でした。

予行練習としてミニ滝谷と呼ばれる乾徳山中央稜をやって、
いざ本番となった時に悪天に見舞われ、北穂東稜だけやって終了。
リベンジを狙って過去数度計画を立てるも、
Aさんとお互い休みがあまり取れず、
やっと都合が付いたら天候にふられ、と流れ続けてきましたが…、
今回やっと登れました。

前回は東稜からやりましたが今回は一般路の北穂南稜からテン場へ行く予定。
前夜出発していつも通り沢渡駐車場で車中泊。
4:00頃、激しい雷雨で目が覚め、気分がげんなり。
予報では今日は雨、明日明後日と晴れの見込み。
もともとのんびり3日間使う予定で考えていたので今日は涸沢まで?いや横尾まで?
ずぶ濡れになりたくないし、だったら別に焦らなくてもいいかぁ~と二度寝。
6時半頃、目覚めると雨が止んでました。

北穂小屋まで行くつもりならそろそろ出ないとまずい。
途中でまた悪天につかまるならそこまでで行動を打ち切っちゃえば良い、とのろのろ行動開始。

タクシーで上高地まで行き、そこから横尾までの退屈な林道はとぼとぼ歩き。
横尾大橋をわたり本谷橋にさしかかったあたりでまた雨が降り始めました。
ガスも低く垂れこんでいて屏風岩も全く見えないし、
無言の歩きが続きます。

雨具は、汗っかきで水を大量に飲む自分には体熱があがってしんどいのですが、
残り1.5kmに差し掛かったあたりで結構な本降りになり、ついに諦めて雨具を着ました。
涸沢小屋に到着して少し休むと、雨と汗で濡れた体が冷え、
気分は減退、今日はここまででも良いかと思いますが、
Aさんは北穂小屋まで行く気満々。

ならば、とコーラと焼き餅だけ胃に押し込んで、北穂高沢沿いにまたとぼとぼ登り始め。
ゆっくり登りましたが、思ったよりは遅くならずに到着。
テントを張るのにすったもんだあり、1時間以上かかってしまいましたが、
ようやく一休み。

前回はAさんに高山症状が出ましたが今回は大丈夫な様子。
北穂高小屋でコーヒーとおかしを頼み、濡れた衣類を乾燥室で乾かします。

テントに戻って食事をとりますが、二人ともあまり食欲が無い模様。
無理やり腹に詰め込みますが、前回とはえらい違う気合の乗らなさに、
明日大丈夫か?と他人事のようにぼんやり思いました。
夜、雨もやみ、風もほぼなかったのは幸いでした。

3時起き4時30分出発のつもりで19時頃就寝。
が、この日は8度を下回る寒気が山腹に入り込み、
0時を回ったあたりから南陵テン場付近でもかなりの冷え込みを記録。
今回、マットをサーマレストのネオエアーにしましたが、
こいつは高さがありすぎて不安定なので、テントの壁まで寄せて寝たのが災いしたのか、寒さで目が覚めました。
足がさみーなぁと思いながらまんじりともせず時がたつのを待ちます。

3時になったので出発準備。
北穂高小屋とテン場は結構離れており、トイレに行くにも面倒くさいので、
朝は行かないつもりでしたが本チャン前は毎回トイレに行きたくなる病が発動し、
結局トイレだけ済ませにまた小屋へ。
小屋に行くたびに北穂高山頂を通るので、
この山頂は有難みが無いなどとくだらないことを話しながら、
滝谷ドームへの下降路分岐まで。

前回ここまでは偵察済みだったのですぐ取付きに行けるだろうと思ってましたが、
踏み跡が途中で不明瞭になります。
右へトラバースするタイミングがわからず、
結構はやめに舵を切りましたが、結構悪いというか、III級以上ありそうな岩場の下降。
こんなにアプローチ悪いの?と思いながら草付目指して降りていきます。
途中Aさんがケルンを発見、付近で懸垂支点を探しますが見つからない。
踏み跡をたどると滝谷ドームの途中のテラスに出てしまい、どうやらエスケープルートのようだと引き返しました。
滝谷ドーム自体は場所がわかっているので、その基部を上から眺め、
目指すべきは顕著なピナクルがある岩峰だと、目星をつけて、
ひたすらクライムダウン。
そのピナクルの裏にようやく懸垂支点を見つけました。
50mロープ1本の折り返し25mでぎりぎり懸垂可能でした、ちょっと左寄りに降りると良いと思います。

散々迷ってせっかく早出したのに時刻は6:30。
ここからようやく登攀開始です。頑張ろう。

1P目(T) – 自分の体感(IV)
出だしのカンテはホールド豊富で岩も安定している。
段々チムニーに入っていくがここは奥に行けばいくほど狭い。
一旦奥に向かいサブザックを外してスリングで引っ張りながらバックアンドフット。
そこからまた外に向かってトラバース、終了点近くの外側は、
足場もそれなりにある。ホールドはピンチが多い。
CSの上でピッチを切った。
狭いので登る人の体格によっては難儀しそう。

2P目(Aさん) – 自分の体感(左スラブIV~IV+)
出だしのカンテは結構大きなホールドが浮いている。
カンテ自体はまったく難しくない。
ガイドではV級のピッチ。
終了間際リッジを登った直後の2~3mぐらいのスラブが核心のようだ。
が、小川山のスラブを何本か登っていれば、
3手ぐらいだし、ちゃんとカチがあるので容易に感じると思う。
リップをつかんで終了。

3P目(コンテ) – 自分の体感(II)
ところどころ3点支持が必要かな、と思う程度。
2足歩行できる箇所もある。
4P目テラスへの取付きがちょっとトラバース気味で高度感を感じた。

4P目(T) – 自分の体感(右テラスCS直上IV+~V-)
ガイドでは左テラスからのスタートIV-/右テラスからCS直上IV+ のピッチ。
一瞬、左テラスから登ろうとしたが、右テラスの方がしっかりした支点があり、
顕著な凹角もあり、こちらが正解だと思い選んだ。
ここは出だしは凹角、途中で逆相スラブになる。
越沢バットレスの滑り台のようだ。
スラブを左へトラバースするとクラック沿いにハーケンがベタうちしてあり、
そちらへ向かう。クラックを途中まで登るが、足があまり無く迷う。
無理やり行けなくもなさそうだが…迷ったあげくクライムダウン。
スラブを戻り、右のチムニーへ。カムが残置してあるのでそれでランニングを取る。
大きなCSがあり、ハングしているが、CSがそのままホールドとして使える。
足をスメア気味にあげて、一発勝負。
うまくホールドが拾えて乗越せた。
個人的にはここのピッチが一番やりごたえがあって楽しかったかな。

5P目(Aさん) – 自分の体感(左ハング越えIV)
ガイドでは左のハング越えV/右巻きIVとある。
フォローの気楽さもあって左のハング越えにトライしてみた。
右のフィストジャム、左のハンドジャム、左足あげの順番でムーブを起こす。
足がかかれば左はリップをつかめるのでそのまま体をずりずりあげると稜線に飛び出せた。
滝谷は日陰になるのでずっと寒かったが、稜線は日当たりが最高で気持ちが良い。
ロープを畳んでAさんとがっちりと握手した。
歩いてドームの頭へ行き記念撮影。

今回は道中、テントとトランシーバを壊してしまいました。
やさぐれて面倒くさいやつになり迷惑をかけたAさんすみません。
ちょっと時間食っちゃいましたが2日間の工程で終わらせられたので、
そのまま上高地まで下山、温泉は入れませんでしたが余韻にはたっぷり浸かることができたので良しとします。

次は何しようか目下考え中です。

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