2016年9月24~25日@越後水無川東不動沢


◎参加者:高山(L記録)、有枝

9/24(土) 晴れのち雲り
400首都高速 四ツ木IC
650越後三山森林公園 出発
830デトノアイソメ
1200二俣
1400奥の二俣
1415水枯手前滝テン場

9/25 晴れ
640起床
730出発
825五竜岳
940荒山手前 鉱山道尾根分岐
1300デトノアイソメ
1430越後三山森林公園

16092412急な大阪出張と悪天候が重なり、シルバーウィークの長期山行はボツ。
日本海側ほど秋雨前線から離れ天気がよいので、代替は越後水無川東不動沢。モチガハナ沢に七月に行った際、下山の極楽尾根から水無川対岸に、雪渓と大滝を抱えた姿を遠望した。

天気予報も悪いし出張帰りの新幹線でビールも飲みたいし、のんびり土曜朝発の1泊2日にする。
オツルミズ沢先で林道から踏み跡へと次第に不明瞭になっていく道をススキの穂を手折りつつ進み、笹花沢出合で踏み跡に従い本流に降りる。河原というべき広さ傾斜で綺麗な岩滑もあるが、巨岩散らばる殺風景さが水無川の主調か。
今回もパートナーは有枝女史であるが、私が小用の間に先行してもらうと5秒でルートを見失い、ヘツリ上がりすぎたり、巻き上がってしまったり・・・。
「上がるから落ちるんです!」とこれで何度目かの人生論的格言を叫んで、水流沿いを先行する。淵には巻き初めと終わりにテープがある。おそらく増水時のための目印で、今回は雨続きの割に水量は平水程度なのだろう。

デトノアイソメにて

デトノアイソメにて

デトノアイソメには雪渓のカケラもない。ただ草付や岩屑芥の雰囲気から例年の雪量を想像する。西不動沢大滝や入道岳に続く稜線下の岩盤バンドを見上げつつ、ギアを装着。
本流の河原歩きから打って変わって、不動沢入渓直後からいきなり、巨岩積み重なる急登となる。遡行の厳しさの予感と快晴青空に突き上げていく爽快感が交錯する。
すぐに西不動沢・デトノオオナデ沢を右左に分けると、20m程度の滝が連続する。水流からやや離れた乾いたラインを簡単に登る。
黒くヌメッた15m滝は、滝壺をへつって右から取付き、1段上がったバンドを左水流際の階段状スタンスまでトラバース。しかしスタンスより先は水流傾斜とも強く、手も足もかからない。右から回り込みたいが、ゴム靴が苦手とする黒ヌメリで最初の一歩が出ない。半分あきらめ階段スタンスを数歩戻ると、目の前にリスを見つける。鋼鉄ハーケンを打ち込んで再挑戦。ヌメの傾斜の緩むあたりに伸ばした右足に乗り込む。左手プッシュし体重移動。そのままでは左手離せないので左足を上げ「手に足」してバランス整えれば、右手が薄いカチに届き一息。しかしこのムーブは逆回しできず、もう後に引けない。

15m黒ヌメ滝

15m黒ヌメ滝

傾斜は緩いが、手ホールドがなく足も滑らないのが不思議なヌメを数歩登って、上のバンドへ立つ。左の流芯の岩瘤へ向けトラバースするが、瘤に手が届く前に爆水浴びてヌメったスタンスから叩き落とされそうになる。溜まらずバック。冷たさと焦燥に泣きそうになるが、後退中にまたリスを見つける。水流の冷たさに震えながらハーケンを打つ。ハンマー振るとバランス崩して滑り落ちそうになり、ハーケンにしがみつく。
確保が取れ、気を強くして、もう一度水流に突っ込む。水流中の溝に左手を甘く引っかけ、足を入れ替え、右手をクロス気味に上の岩瘤へ伸ばしたら掴めた。左足を滝芯の溝左のスタンスに伸ばし、水流に負けじと両腕に全力をこめ乗り込む。滝左は岩質が異なり、スタンスにヌメりの予感はなく立上り、左手がザラついた大きなホールドに届いた。ガバと暖かい日差しの感触に俯いたまま動けない数秒。
息を整え、落ち口左の細い灌木まで上がって、ビレイを取り、有枝女史を迎え入れるが、三回も落っこちたので、灌木だけでなくハーケンも打って確保して良かった。
寒いので、すぐに行動開始。20m滝を左から小さく上手く巻いて、ご機嫌で滝上に降り立つが、見上げれば50m二段滝が大きすぎる。右岸から大きく巻くころには十分に体も温まる。
すぐに垂直40m大滝。矢継ぎ早に連続する直登不可能な大滝群に笑うしかない。左岸の岩盤下を右上し、岩の切れ目を灌木掴んで上がって、薮から草付へとトラバースして滝上に下降。
開けた二俣で小休止。流木も多く、一段上がった平坦地もあるので、ここで泊まるのも悪くなかったかもしれない。

左俣12m滝

左俣12m滝

左俣に入った直後の12m滝は下部の傾斜は強いが、見かけ倒し。
水量が減り穏やかになった沢が小滝をかけるのを越えると、またもや大滝。有枝女史が遡行図を見て「ウガンウンガンガ…」と意味不明な言語を呟いている。女史は最近沢に行き過ぎて、すっかり日焼けし、言語も南方系に進化しているのかもしれない。

僅かに戻った左岸から流入する小沢を直登不可能な5m滝下まで上ってから、草付斜面を灌木帯とのコンタクトライン沿いに左にトラバースする。下の大滝の高巻きと違って、草が太くて大きく不安はない。尾根状まで行くと傾斜が緩むので、懸垂下降せずに岩を伝ってクライムダウンで沢に戻る。1474806377037
1474806369516奥の二俣を右に入るとすぐに水流が細くなり、小滝の下にガレが溜まった平坦地を整地してビバーグ。両岸に打ったハーケンにロープ渡してツエルトを張れば、源頭近い割に平坦で乾いた快適な泊り場だ。さすがに薪は少ない。
眼前にクシガハナから越後駒の稜線、滝沢を眺めながら、少し多めのウィスキーで二人とも酔っぱらって早めに寝る。夜半、小用に起きると明るい月夜だ。焚火をつけようかと思ったが、冬の星座を見上げ、流れ星を待ちながら、体が冷え酔いが覚めていくのが心地よい。ゆっくりと眠気を待つ。
翌朝、当然寝坊。雑炊で体は温まったが、悪酔い抜けず、出発直後の小滝でステミングした足が滑ってズリ落ちる。有枝女史が嬉しそうに「危ない」と叫んでスポットしてくれて事なきを得た。
途中、沢が左右に分かれる。左が五竜岳からの岩尾根沿いにコルに抜けて行きそうだが湿って暗いのでパス。朝陽の当たる右沢を選択した分だけ薮が濃く詰めに時間がかかった。

真沢の大滝群

真沢の大滝群

五竜岳は名前の割に地味なピークだったが、入道岳・中岳・越後駒さらに真沢の大滝群の眺望が抜群によい。
下山は鉱山道尾根。登山道からの下降点は明白だが、下り初めて3分もしないうちに踏み跡は消える。下向きに長く伸びる灌木を掴み半身になって下降してゆく。尾根上部は鎖を1か所、テープを2か所見た以外に道の痕跡はない。下りやすい流水溝を伝うとどうしても沢に降りてしまう。有枝女史が何度も沢を下ろうと声をかけてくるが、全部即座に拒否。

鉱山尾根から東不動沢の大滝を見下ろす

鉱山尾根から東不動沢の大滝を見下ろす

途中西不動大滝が見える場所でコンパスで現在地を特定し、右に灌木帯をトラバースしたら、草付の中に踏み跡らしきものを見つける。さらに右に平坦地があり、鉱山の名残かと思い見に行ったが、草に埋もれ何もない。おかげでまた踏み跡を見失う。
下部で尾根が細くなると踏み跡がしっかりしてきて、刈り払いの痕跡も出てくる。悪い場所には鎖も多く、上部とまったく整備状況が違い、安心して下れた。

デトノオオナデ沢 120m滝

デトノオオナデ沢 120m滝

2日目は下りだけで楽勝だと踏んでいただけに、森林公園までの帰路は疲れが出た。いつも沢の帰りにジムに寄ったりするほど屈強な有枝女史が、足を引きずり腰を押さえ辛そうだった。
温泉は少し遠回りだが、浦佐の「てじまや旅館」へ。水無川の遡行後に行くからだろうか、ここの茶色く濁った金気臭い温泉は、どこの温泉より効用がある気がする。

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