2016年12月17日@横岳中山尾根


16121709

 

◎参加者:高山(L ・記録)、会外1名

0400起床
0450赤岳山荘P 出発
0650中山乗越
0810下部岩壁取付
1150稜線登山
1240地蔵尾根分岐
1320行者小屋
1350赤岳鉱泉
1530赤岳山荘P

三週連続で八ツ西面。今年も寡雪なのか、赤岳山荘Pまで不安なく林道を車で上がる。
しかし翌朝北沢林道を歩き始めるといきなり積雪で、先週とは様変わりしている。歩きやすくて有り難い。
真冬並の寒波が入っているらしいが、曇天のため赤岳鉱泉で-10℃と暖かい。
中山尾根には期待通りトレースなし。平日の高い高速代払って、忘年会を万難排し途中退席してきた甲斐もあったというものだ。
木曜日の南岸低気圧通過での湿雪の上に寒波による乾いた軽い雪が乗っているが、八ツらしく積雪の割に楽なラッセル。所々に目印テープはあるが、雪があるので基本直上。スモーカーの相棒は全くラッセルしてくれず恨めしい。しかし全ピッチフォローでも文句を言わないのだから仕方ない。
下部岩壁取付でロープを結ぶが、風も強く狭い。手前のリッジでハーネス・アイゼンを装着した際にアンザイレンすれば手も冷たくならず済んだ。
岩壁は雪で真っ白。雪を払いガバを探すが、全部奥に雪が凍って詰り掴めない。いやらしいなと思っていたら5mも登らないうちに、バランス崩し不意落ち。二本目取った後だったが、取付まで落ちてビレイヤーに体当たりして止まる。何でこんなに落ちたのか不可解だが、相棒は手袋してビレイするだけで精一杯で、全く上を見ていなかったらしい。煙草を吸うには風が強すぎるので本当だろう。
左脹脛の打ち身と舌を切っただけで済んだので、再開。手に頼らず、雪が乗った足スタンスを慎重に選んでいけば良いのだが、雪を払って支点やホールドを探す際に、どうしても目の前にばかり集中してしまう。
2ピッチ目は左の草付が楽そうだか、そこまでのトラバースが急過ぎて怖い。頭上のクラックを登るが、足掛かりが小さくて支点もなく、手袋ジャミングで辛くも切り抜ける。
リッジに出たので風が強まり、上部岩壁も全く見えない。簡単なはずの1~2ピッチでこれほど苦労したうえに墜落までして気分が凹んだ。
上手い撤退理由を考えつつ、できれば相棒から撤退提案してくれればと思いながらビレイしていたが、お気楽にフォローで上がってきた相棒の笑顔の世辞に気を良くし、結局コンテで雪稜を登り始める。

上部岩壁取付

上部岩壁取付

上部岩壁は傾斜が強く岩が出ており支点が豊富。A 0しながら上がってゆくが、ハング手前のビレイ支点まで後少しで傾斜が緩み、岩盤が雪で覆われる。ここまで1m間隔で支点ベタ打ちだったので、絶対にあるはずと不安定な姿勢で必死に探すが見つからない。諦めてそのまま上がる。
その上の凹角ハングはホールド大きく問題なし。
今回は着雪が中途半端だったのか、緩傾斜部分ほど難しく、岩壁というよりは雪を登った感触が強い。

ピナクル

ピナクル

核心を越えたが、上に行くほど風が強まるので視界の効かない雪稜を急ぐ。途中で急傾斜の草付を避け、岩場を右に入ってしまい、残置がない小ハングを乗越してリッジに戻る。ムーヴの最中に足元を見たら岩瘤に巻き付けて支点にしたスリングが外れかけていて冷や汗をかく。
リッジに戻った途端に風が酷すぎる。下を向くと風に巻き上げられた雪粉が顔面直撃して目が開けられない。トサカ岩基部を右に入って風を避けながら、グリップビレイ。この時間帯、麓の原村アメダスで風速12.6m/s。
日ノ岳への直上凹角ルートなぞ思いもよらず、睫毛にこびりついた氷片を剥がし落としつつ、トラバースして稜線登山道に逃げた。
登山道もトレースがないので、風を避けて佐久側をラッセルしたので時間がかかってしまった。さすがに地蔵分岐まで着いてホっとしたが、下ろうと西面に出た途端にまたも氷雪粉の顔面直撃。風に背を向け、後ろや横向きに下ったら、いつもの倍近い時間がかかってしまった。

帰りの樅の湯で、ヒリヒリする赤ら顔の顔面を相棒と互いに笑いあった。

コメントは停止中です。