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2023年11月3ー4日@明星山P6南壁左岩稜&フリースピリッツ
メンバー:荒木、会外Tさん 3年越しの宿題だった明星山P6南壁を登ってきました。
明星山は新潟の糸魚川市、北アルプスの北端のはずれにある石灰岩の岩山で、山の標高は1100m位しかないものの、P6南壁は高さ400m以上ある大岩壁となって小滝川に切れ落ち、川を挟んだ対岸にはヒスイ峡展望台という観光スポットもあり、クライミングの名所として観光客も訪れるところです。
フリースピリッツはこの壁の一番人気ルートですが、壁の真ん中を縫うように弱点をついて登るラインで、それまでエイド主体で登られていたこの壁がオールフリーで登られたという日本のフリークライミング史上に残るルートです。個人的にも40年来ずっと頭の片隅にあって、いつか登りたいと思っていたルートでした。
自分の初挑戦は2021年齢の秋、この時は明け方まで降った雨で壁は濡れていたのですが、せっかくはるばるやって来たのでということでフリースピリッツに取り付いたものの、濡れてツルツルに滑る石灰岩は怖く4ピッチ登った所で敗退でした。2回目は2022年5月、今度は雪解け水で増水した小滝川の流れが凄まじくてフィックスロープも流されていたため渡渉できず、取付きも出来ずに敗退でした。
という事で今回は3度目の正直リベンジですが、しばらく続いた好天で壁はよく乾き、小滝川の水量も少なくて飛び石で渡渉もできてコンディションは最高。標高が低いので夏は暑くて登れず秋がベストシーズンということで、3連休も相まって今までになくクライマーもいっぱいです。 11/3(金)
天気:晴れ
ヒスイ峡駐車場 6:50出発
左岩稜取付き 7:10〜8:20登攀開始
左岩稜終了点 12:15
ヒスイ峡駐車場 13:50 この壁は登攀終了後の下降路が分かりにくいという記録が多く、まず初日は下降路の偵察も兼ねてP6南壁の概要をつかむには最適と言われる左岩稜ルートを登りました。
前夜発で車中泊だったので、ゆっくり支度をして取付きへ向かうと、すでに先行は3パーティ7人が順番待ち、まだ1パーティ目が登り始めたところでした。幸い前の2人は知り合いだったのでお話しをしながら時間潰し、1時間以上待ってようやく登り始めました。1ピッチ目は草付きを登って少し被った所がいやらしい。次の2ピッチ目を登ると先行の2パーティは左フェースへ分かれていき渋滞緩和。3ピッチ目がこのルートのハイライトで前傾壁をアブミで越えていく。ボルトの間隔も近いので難しくはないが、ハンガーボルトのナットがいくつか緩んでいて指で締めながら登った。 4ピッチ目はⅤ級だがあまり記憶はなくそんなに難しくはなかった印象。その後も終了点まで簡単なピッチが続き、先行の大阪女性3人パーティに続いて9ピッチ登り終了。混んでいたものの登り始めたらスムーズに登ることができたが、11月とは思えない暑さだった。下降路はピンクテープやフィックスロープが整備されていて1ヶ所だけ不明瞭な所があったものの、大阪パーティとルーファイしながらそんなに苦労することなく降りることができた。
ちなみに夕方5時になると日が暮れて真っ暗になるのですが、その時間にまだフリースピリッツの最終ピッチ付近を明かりを点けて登っているパーティが見えていて、さすがに彼らは終了点付近でビバークに、なるんじゃないかと思っていたら、なんと20時半位に駐車場へ戻ってきました。真っ暗な中であの下降路を降りてきたのはあっぱれでした。 11/4(土) 天気:曇り時々晴れ
ヒスイ峡駐車場 5:40出発
フリースピリッツ取付き 5:55〜7:20登攀開始
フリースピリッツ終了点 14:20
ヒスイ峡駐車場 15:50 2日目はフリースピリッツ、この日も混雑が予想されたので、朝いちで取り付くべく早起きをしたが、皆考えることは同じで、まだ真っ暗な5時過ぎに出発するパーティがいて完全に先を越されてしまう。我々が取付きに着いた時は2パーティがいて結局1時半の順番待ち、我々の後ろにも3人パーティが待つという盛況ぶり。しかし我々が登り始めると先行パーティはまさかのルーファイミスで時間がかかっており、3ピッチ目からは我々が先行する形になりました。ということでそこからは順調に登ることができ、前に苦労した4ピッチ目のトラバースも迷わず登り、そして下部の核心梅干し岩からのトラバース、これが怖いのなんの、残置のお助け紐がないとさすがに無理、とにかくスピード重視で行きますが気の抜けないピッチが続きました。 上部に入ってからの11ピッチ目のへの字ハング下の右上するランペというのが分かりにくくて痛恨のルーファイミス、20mほど懸垂して正規ルートに復帰できました。あとはパノラマトラバースを堪能、高度感あって最高なトラバース、その上のピッチも細かいフェース、結局16ピッチ登って南壁の肩に出て終了。下降路も前日の下見のおかげで迷わず下山できました。
全体的にムーブ的な難しさはないものの、ランナウトやプアプロテクションに耐えながら絶対に落ちないクライミング力とルーファイ力とスピードが求められる面白いルートでした。
3度目の正直でやっと明星の女神も微笑んでくれて無事に登ることができ、一緒に登ってくれたTさんにも感謝です。