【個人山行】2017年8月14日~16日@錫杖岳クライミング


参加者 荒木(L、記録)、渡辺(赤)、高橋

天気 14日:曇り 15日:曇りのち小雨 16日:雨

2017-08-14-09-00-00-large

2017-08-15-09-00-00-large天候不順な今年の夏ですが、雨にも負けず錫杖へ行き、なんとか前衛壁「左方カンテ」と「見張り塔からずっと」を登ってきました。

image_xlarge (1)

錫杖沢出合からの前衛壁

 

 

 

14日 5:30 中尾高原口駐車場 発
7:00 錫杖沢出合 BCテント設営
7:45 BC発
9:00-11:30 中央稜正面壁を1ピッチ登って撤退
12:25-16:05 左方カンテ7ピッチまで登って終了
16:45 北沢岩壁基部へ下降
17:25 BC帰着

15日 6:00 BC発
7:15 見張り塔からずっと 登攀開始
11:30 上部岩壁(本峰フェース)取付き
16:30 頂上終了点
17:00 錫杖岳山頂
21:10 BC帰着

16日 5:40 錫杖沢出合 発
6:50 中尾高原口駐車場 下山

13日の夜に車で出発、新穂高で夜間通行止め区間があり、その手前で仮眠して、通行止めが解除される朝5時すぎに中尾高原口駐車場に到着。
ここは20台くらいしかとめられずほぼ満車、運よく1台分空きがあったが、他の車は焼岳や笠ヶ岳登山者がほとんどだったと思われる。

 

image_xlarge (4)

間違って取付いた中央稜正面壁

14日、山はガスって見えない中、登山届を出して出発。錫杖沢出合までは1時間半位だが、テン泊装備の重たいザックを背負って結構な急登できつい。
お盆なので、錫杖沢出合はクライマーのテントでいっぱいだろうなと思っていたら、上のほうに一張りだけで他は誰もいなくて逆に驚いた。
上のテントの人達も岩登りには行っておらず、夕方下りてきたときにはテントは撤収されていたので、なんとお盆真っ最中なのに、錫杖岳は2日とも我々の貸切だったww
BCテントを設営し、クライミング装備を身に着け、ガスっていて前衛壁は見えないが早速登りに行く。予定では1ルンゼだったが、雨でルンゼは濡れていると思い、左方カンテに変更。
前衛壁までは錫杖沢の右側につけられた踏み跡をたどっていくが、ガスっていて位置がよくわからなかったため、北沢の大滝を1ルンゼと勘違いし、中央稜正面壁を左方カンテと思い込んで取付いてしまう。
凹角~フェース~木登りとかなり難しくて、どう考えても左方カンテ1ピッチ目の3級よりも厳しく40m以上ロープを伸ばしたテラスでピッチを切ったが、その先はさらに難しそうな壁のため撤退、懸垂で降りることに。
しかしこの懸垂も悪く、全くロープが流れなくて1ピッチ登って降りるだけで2時間半もかかってしまった。
地図とGPSで現在地を特定し、正しい左方カンテの取付に着いた時にはお昼を過ぎていたが、雨も降らないし誰も登っていないので、とりあえず登れるところまで行こうということで左方カンテに取付く。
噂通り残置のピンはほとんどないがカムで取れるし、さっきと違ってとても快適に登れ、高度感も気持ちよかった。特に面白かったのは3ピッチめの高度感のあるフェースのレイバックと6ピッチ目のチムニー横のフェース、7ピッチめのオフィズスからクラック、スラブに移るところだった。
7ピッチ登ってあと簡単な2ピッチが残っていたが、時間的に遅くなったのでそこで終了して、北沢側へ「注文の多い料理店ルート」を3回の懸垂下降で降りて、BCテントに戻った。

DSCN2123_xlarge

左方カンテ1ピッチ目

DSCN2129_xlarge

6ピッチ目チムニー横のフェース

P8142452_xlarge

北沢側を懸垂下降

 

 

 

 

 

 

15日、朝起きると小雨が降っている。今日は「見張り塔からずっと」を登る予定だが岩が濡れているのは間違いない。とりあえず取付まで行って考えようということで出発する。
40分ほどで取付に着いたが、小雨模様。でもそんなに岩は濡れてなくルートの下部は難しいピッチでも5.6となっているので、しばらく雨宿りしながら検討の結果、雨がひどくなるようだったら上部岩壁の手前で下降しようということで渡辺さんリードで取付くことに。

DSCN2132_xlarge

1ピッチ目 北沢大滝の横を登る

P8152479_xlarge

3ピッチ目

基本ナチュラルプロテクションでトポを見ながら登るが、ルートはあまり判然とせず、ビレーポイントもほぼカムや岩角などで支点構築する感じ。それでも渡辺さんは順調にロープを伸ばして、3時間くらいで6ピッチほど登り、下部の岩場は登りきり、コンテで藪・草付を進む。

P8152491_xlarge

上部岩壁の大洞窟を目指す

 

が、上部岩場までトポには約100mと書いてあるが、どう見ても上部岩壁取付の大洞窟はかなり遠くに見える。さらに大洞窟の下は滝状の岩場になっていてロープを出して登った。
やっとのことで大洞窟横の本峰フェース取付に到着。5.9のクラックは濡れていて悪そうなので、上部岩壁は荒木リードで取付く。雨脚も少し強くなって岩は完全に濡れているしヌルヌルするしで、カムを使ってA0で登るが、結構ジャミングはきいたが、オールナチュラルプロテクションのため、ルートファインディングも難しい。。

DSCN2138_xlarge

上部岩壁2ピッチ目の凹角からフェースに移るところ

その次のピッチも5.9、最初の凹角はジャミングとステミングで登るが、途中から右のフェースに移って5mくらいのトラバース、雨の中ここのトラバースからフェースを直上する箇所が一番悪く、フェースの細い割れ目に頼りないカムを決めるが落ちたらきっと外れるだろうというような代物。。壁を伝う雨水で手も体もびしょ濡れになりながらも絶対に落ちないよう必死で登り、なんとかフェースの抜け口をマントルしてスラブに移って一安心。しかし適当なビレーポイントがなく、細いクラックにマイクロカムを決め、わずかな岩の出っ張りにスリングをかけてバックアップをとってビレーしたが、フォローがスリップして落ちたけどもなんとか支点は持ってくれて止まった。
その先はスラブと草付を2ピッチ。ここもルートがわかり辛く、行ったり戻ったりしながら進む。3級の草付も雨で濡れてクライミングシューズで登るのは非常に悪かった。
そしてやっと最終ピッチ5.7のクラック。クラック自体はそんなに難しくないが、最後の最後でピークに出るところでつかんだ岩がはがれ、トップが1mほど岩とともにフォール。運よくテラスで止まったが恐怖だった。。
こうしてなんとか全員が狭いピークにそろったのは夕方4時半、13ピッチ以上、9時間超の雨のアルパインクライミングでした。

image_xlarge (3)

終了点のピーク

DSCN2150_xlarge

山頂のピッケル

P8152508_xlarge

錫杖沢頂上

 

 

 

 

 

 

このあとクライミング装備をしまい、夜に備えてヘッドランプもつけ下山開始。すぐ隣の本当の錫杖岳の頂上にも立ち寄って記念撮影。
ここからが第2の核心でした。南尾根の踏み跡と赤テープをたどって下っていくのだが、途中から猛烈な笹藪となってトレースが分かりにくくなり、何度も行き過ぎて戻って赤テープを探したり、携帯のGPSで位置を確認しながらずぶ濡れになって藪を漕いだり急斜面を下ったり、とにかく疲れる。
なんとか暗くなる前に沢に下る踏み跡に入ることが出来て、あとはその沢を下っていくのみだがしばらくは相変わらずの藪漕ぎ、見覚えのある前衛壁のシルエットも見えるようになり一安心。しかしすぐに暗くなってヘッドランプの明かりを頼りに沢を下っていくが、真っ暗闇の雨の沢下降というのは本当にエクストリーム!小滝はたくさん現れてルーファイ難しいし、岩はつるつる滑るし、10mほどの滝が2か所あってそこはフィックスロープを頼りに下り、とにかく疲れているのもあり怪我だけはしないように慎重に下っていった。
そしてスタートして15時間行動の末、夜の9時すぎにようやくテントに戻れたときは本当に嬉しかった。
テントに戻ってお酒を飲んで夕食を食べ今日の余韻に浸った。

16日は起きると朝から雨、2日間十分に登ったので、今回は思い残すことなくテントを撤収して下山の徒についた。

天気悪い中、2日も登れて充実したアルパインクライミングでした。

コメントは停止中です。