2017年8月26日@葛野川小金沢本谷~大菩薩沢


◎参加者:高山17082612
0415 東京発
0620 小金沢公園P着
0630 出発
0700 堰堤上より入渓
1000 大菩薩沢出合
1020 魚止ノ滝
1320 天狗棚山
1400 下山開始
1710 小金沢公園P

 

「この帝都ちかくに、これほど深く、これほど無駄のない、これほど美しい谷があろうか」『奥秩父』(原全教・1935年)
「かつて関東近郊で屈指の名渓といわれた」『東京周辺の沢』(白山書房編・2000年)

「険悪な廊下と多くの美瀑をもち、山域一困難な幽谷」『東京起点沢登りルート120』(宗像宗一・2010年)

 

八月最後の週末、日曜日からは日本海側からの高気圧に覆われ涼しくなる天気予報。8月26日(土)に泳ぎ納めとして葛野川小金沢~大菩薩沢を選択。
中央道を大月ICで降りるのは初めてで、行き過ぎてしまい、勝沼でUターン。忙しい日程なので30分といえども痛い。焦って入渓したら堰堤下に下りてしまう。やはり前泊にすればよかったと後悔する。「花の名前をひとつ覚えるように、渓を遡っていけたらよい」が、現実は交通費と女房の機嫌と残業と昇進降格のバランスの上に成立している。
入渓直後に釣り人を発見、気づかれぬよう右岸台地を巻いて追い抜く。小金沢下部は河原が続き、淵も浅く、鶏淵4m滝も簡単に左から登る。久しぶりにフェルト靴を履いたが、足置きの安心感とヒタヒタとした歩行感がチャートのナメに気持ちよい。緩やかな渓相は林道歩くより余程早く進めるが、少々退屈ではある。左右の岸より落ちる見事な滝を愛でつつ、大樺沢まで進む。
ここから滝が出てくる。二段滝は一段目を登って滝裏に入った先が見えないので、右ガリーから巻く。巻き途中に下を見ると二段滝上にも登れそうもない滝があるが、一応降りてみる。大木が緑青の釜淵から瀑芯に御立ち、根元で滝水がヒョングリしており神々しい。上り返して巻く。
この先の不動滝も登れないので右から巻く。しっかりロープが張ってある。二段滝と不動滝以外はノーロープですべて登れる。しかし釜の大きさ・滝の高さ・へつり・飛び込み・飛びつきとワンパターンな滝が多くて、どれがどれやら判然とせず、実際以上に数をこなした印象がある。陽も当たらず体が冷え切り、もう勘弁してもらいたいが、巻いている時間はないし岩も硬くて順層なのでシャワー直登を繰り返す。決して難しい沢ではないが、水量と長さが特徴だと思う。
ところどころ中州にナメ・苔・針葉樹で構成された景観が広がり、往時を偲ばせる。沢中で時折ジェット機のような轟音を聞いたが、葛野川地下発電所の関係だろうか?
ようやく大菩薩沢の出合に着く。本流は滝の直ぐ上に大きな堰堤が見え、林道も並行する。大菩薩沢は枝沢ではないかと疑わしくなるほど水量が少ない。もう濡れずに済むのは有難いが、意外感もあり高度計とコンパスで確認する。分岐後もずっと平らな河原のままで、ますます不安になる頃に、深く抉れた魚止ノ滝が出てくる。これは登れないので右から巻く。トラロープ沿いにかなり上まで巻き上がるが、バンド状を伝って歩いて下りられる。この先に滝が連続するが、ロープなしですべて登れる。三段滝の中段だけ足が高いのでヒールフック気味に体を上げる。ボルダー5級だと思う。しかし釜・へつり・飛び込み・直登のワンパターンは小金沢の縮小版で正直クタびれる。
大菩薩と見くびって来たのだが、考えて見れば標高・比高・距離とも湯檜曽や万太郎とほぼ同等。大きな滝がなく詰めが短い分だけ2~5m程度の滝を多く登るのだ。完全にヘバって足が上がらず、休み休み水流沿いを詰める。最後は脛丈の笹薮を詰め、狼平から天狗棚山の稜線に出る。
薄曇りの日差しと微風が心地良く、笹原に出た露岩の上でトカゲする。時折甲府盆地側のガスが晴れてダム湖と塩山勝沼あたりの街が見下ろせる。
下山は長峰から。破線だが登山道なので2時間もあれば降りられるかと思ったら、とんだバリエーションルートだった。沢で予想外に釜に浸かったので、地形図がびしょ濡れになり、もはや等高線の識別が難しい。三度も尾根を外して登り返し、半ベソかきながら、それでもキノコは収穫して下山した。

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