2025年12月30日 横岳 小同心クラック


参加者:荒木・川島(記) 向かった先は八ヶ岳。年末年始の混雑や八ヶ岳の厳しい寒さなどを考えて、前日入り。お酒を呑んでゆっくりと過ごした後は、ほろ酔い気分で就寝。 八ヶ岳山荘の仮眠室で快適に眠る。

3時起床、4時に美濃戸口を出発。風が強い予報だったが、暢気なもので、無理そうだったら止めようと歩みを進める。 個人的に今回の山行で楽しみなのは、経験者と二人で山に登れること。歳が違っても、歩んで来た道が違っても、自然に行動を共にできるのが登山のいいところ。

軽快に赤岳鉱泉に着くと、ハーネスとアイゼンを付けて、心も少し引き締める。硫黄岳との分岐で大同心稜に入り、急登を詰める。急な雪道を登るとバリエーションのスイッチが入る。
大同心の手前に着くと、そこは厳しい雪山の様相だった。風はそこまで感じなかったが、霧で見通しが効き辛い。小同心クラックの取り付きに行くのにトラバース道が見えず、危険な斜面に入り戻ったりもして、ようやく取り付く。到着までが一苦労だったが、簡単には諦めない粘り強さが山でも仕事でも深みを増すと思っている。決して無理はいけないが。 こういう歩みをできただけでも充分だったが、本当の苦労、楽しみはこれからだった。益々強まる強風と霧に覆われた小同心を見上げ、登り始める。

登って来た稜線

小同心クラック取り付き

もちろん私にはリードはできないからフォロー。リードの姿は霧で直ぐに消えた。しかし、なかなか来ないビレー解除のコール。呼ばれて登るとその厳しさが判った。岩の方が多いが、雪が付着したルートはボルトやホールドが減り、とても危険に感じた。冬装備とアイゼンでの登攀は取り回しがとにかく悪く、普通のクライミングとは別物だった。岩が被った所や、遠いホールド、ピッケルでしか頼りにできない遠くて浅いホールド。気合で乗り越えた。
横岳山頂直下が一番難しく感じた。上に登りたくてもホールドがとても遠く、腹の辺りは若干被り、岩にへばり付く。腹と岩の間から吹き上がる風雪で頭から首まで雪塗れになり、顔が痛め付けられる。上からも雪がばらばらと落ちて来て私をなじる。時間を掛ければ掛ける程危険になると本能的に感じて、ピッケルを頭上に刺して、自分を信じて登り切った。 横岳山頂に着くと、今まで我々を覆っていた霧が抜け、僅かながらも下界の展望があった。

ようやく登り詰める

僅かな展望も嬉しい

山頂にて

自然からの細やかなご褒美であった。ルートの先が見えない吹雪の中、リードしてくれた荒木さんの心の強さを感じた。まだまだ小さい自分を感じ、人にも山にも謙虚でありたいと思った。

下山は少し下降点を間違えるが、無事に復帰して来た道に戻る。ほっと一息の休憩をしてハーネスとピッケルを仕舞う。振り返ると、霧が抜けた大同心と小同心が見えた。ありがとう。

懸垂で降りる

振り返り見える大同心

大同心と小同心

下の展望も素晴らしい

下山は夜8時。16時間に及ぶ山行だったが、中身はそれ以上だった。 過去一番の厳しい雪山だったと先輩は言うが、不肖の将来を考えてくれての冬期アルパインだったと私なりに感じている。くどいが、自然にも人にも、満腔の感謝を表したい。

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